第20章 三日月が導く静かなる助奏
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と玄関で分かれて、部屋で一人、ボクは先程の彼女へのキスを思い出していた。
ころりとベッドで寝返りをうつと、窓の外に夜空が見えた。
ああ、今日は三日月だったな・・・。
知らなかった。が自分のことを重荷になっていると思っていたなんて。
そして、あんなに完璧な人間なんていないというほど何でもできるのに、自分のことをダメだなんて思っているなんて。
小さい頃から、は何でもできて、親や先生にも評判が良くて、キレイでかっこよくて、ボクはただただ、の後を追い回していた。
いつも、すごいと思っていた。本当に、憧れていた。
ただ、PIHだけが、を悩ませていると思いこんでいた。
でも、今日のの様子を見て、ボクの見ていたのは本当にの一部だったんだということ
がわかった。にも自信がないときがあるし、落ち込むことだってある。
自分が人に迷惑をかけていると苦しむこともあるんだ。
そして、あんなふうに震えて泣きじゃくるを見たのは初めてだった。知らない男の人にキスをしたときも大泣きしていたが、あのときとは違う。
なんだろう、変な言い方かもしれないけど、の弱いところを見た、と思った。そして、いけないことかもしれないけど、それを愛おしいと思ってしまった。
いつもボクがにできることなんて何もない、と思っていたけど、あんな風な泣き顔を見せられたら、本当に抱きしめて、守ってあげたくなる。大丈夫だよと、ずっとそばにいるよと言いたくなった。
それが、あのキスだった。
キスをした後、は、だんだん落ち着いてきた。ボクの方もだんだん落ち着いてきて、そして、肩に手を置いているのが無性に恥ずかしくなり、のけてしまった。
このまま、抱き寄せて、キスできたら・・・。
一瞬、そんな思いもよぎったが、なんだか、それは弱みに付け込むような感じがしてできなかった。
キスをした後、ボクらはまた黙って砂浜を歩いた。
がそっと、手を握ってきたので、手を繋いで歩いた。