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彼女はボクに発情しない

第19章 キスに焦がれる輪唱曲


「私の病気がなければ、陽太はもっと普通に生活できたんだと思う。友達と遊んで、恋をして、楽しいことももっといっぱいあって。」
そんな・・・そんなこと、思ってもみなかった。

はでボクと全く逆のことを思っていたんだ。
はボクの楽しみを奪っていると思っていた。

ボクはの楽しみを奪っていると思っていた。

理由はちょっと違うけど、同じ様に互いに思っていたんだ。

「優子ちゃんに、告白されたんでしょ?」
どきりとした。はうつむいているので表情が見えない。

「わ・・・私・・・陽太に守ってもらってばっかりで、すごく恥ずかしいところばかり見せちゃって、嫉妬深くて、嫌な子で、本当に、本当にダメなんだけど・・・。だけど、私は・・・」
が立ち止まる。砂浜にボタボタと涙が落ちているのが見えた。
「ダメだぁ・・・こんな風になるはずじゃなかったのに・・・。」
しゃくりあげるように泣き出した。繋いだ手にギュッと力が入る。
ボクは、思わずの肩に手を置いた。

「・・・はダメじゃないし、嫌な子じゃない。全然、そんなことない。守っているのだって、ボクが好きでやってることだから」
が顔を上げた。涙でぐしゃぐしゃだ。
「そんな・・・優しいこと言わないでよ・・・。陽太・・・優しすぎる・・・。」
優しすぎるなんてことない。だって、ボクは、ボクは・・・。

「だって・・・は・・・いつだって、ボクの・・・」

女神様だ、とはさすがに言えなかった。

ぶわっと涙をあふれさせたの顔があまりにも愛おしくて、ボクは多分、どうかしていたんだと思う。

誰もいない、夜の海辺。
ボクは、の額にそっとキスをした。
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