第42章 勉強会
しかし、頭上から降ってきたのは爆発でも怒鳴り声でもなかった。
「……チッ。顔上げろ」
「は、はいっ!」
弾かれたように顔を上げる。
目の前では爆豪が腕を組み、心底呆れたような顔で上鳴を見下ろしていた。
もちろん、上鳴にユカリへの下心がないことくらい爆豪も分かっている。
そもそもユカリに頼めば、本人はきっと二つ返事で了承するだろう。
だからこそ――
「……っつーか、なんで俺の許可が必要なんだよ。あいつに直接頼めばいいだろ」
「いやいやいや!だって爆豪に黙ってユカリ先輩の時間もらうとか、俺の命が危なくね!?」
「知るかアホ」
「ですよねぇ!?」
チッ、と盛大に舌を打つと、爆豪はポケットからスマホを取り出し、迷いなく発信ボタンを押した。
ワンコールで繋がり、スピーカー越しにユカリの声が響く。
『―――爆豪くん? どうしたの?』
「おい」
爆豪はそのまま、スマホを上鳴の額にドンッと乱暴に押し付けた。
「ひぐっ!?」
「自分で喋れ」
「えっ、俺!?今この状態で!?」
パニックになりながら、慌ててスマホを両手で受け取る。
電話の向こうから、少し不思議そうな声が聞こえてきた。
『……あれ?上鳴くん?』
「あ、お疲れ様ですユカリ先輩!」
『お疲れ様。どうしたの?』
「あの、実は期末テストの勉強教えてほしくって……!」
『え?期末テスト?』
「はい!」
上鳴はちらりと横を見る。
爆豪が無言でドスを利かせてこちらを睨んでいる。
「あ、爆豪の許可はもちろん貰ったんで!」
『ふふ、そうなんだ?』
(はー、癒される……まじ天使……)