第42章 勉強会
もちろん、本当の勝負はここからだ。
除籍がかかった本番――期末テスト。
今回、ユカリが教えてくれたのは、あくまでこの小テストの範囲だけ。
家庭教師をしてくれたのも、今日の一回きりだ。
けれど。
「…………」
上鳴は答案用紙を見つめながら、拳をぎゅっと握る。
一度、コツを掴んだ。
なら――。
(もう先輩の手を煩わせなくても、俺一人でいけんじゃね?)
そう思った。
いや。
この時の上鳴は、本気でそう信じていた。
(期末なんて、余裕っしょ!)
今日の85点。
それはユカリの特別授業がどれほど効いていたかという証拠でしかなかった。
この浮かれた勘違いが解けるまで、あと数日。
***
そして――雄英高校は、本格的なテスト期間へと突入した。
それまでの賑やかな空気が嘘のように、1年A組の教室は一変している。
教室のあちこちでページをめくる音が響き、机に向かう生徒たちは皆、真剣な表情でノートや教科書と睨み合っていた。
カリカリ、カリカリ。
ペン先が紙を走る音だけが、やけに大きく聞こえる。
そんな中――。
「…………」
たった一人。
完全に死んだ目をして、机に突っ伏している男がいた。
上鳴である。
(……やばい)
顔だけを教科書から少し浮かせ、ページを見つめる。
(マジで、何もわかんねぇ……!)
そう。
あの日の快進撃は、あっけなく終了していた。
いざ自分で教科書を開いてみれば、そこに並んでいる文字は、もはや日本語ですらない。
いや、日本語なのはわかる。
わかるのだが――意味がまったく頭に入ってこない。
「…………」
数秒、教科書を凝視。
そして、そっと閉じる。
「……詰んだ」
さすがにこのままではまずい。
焦った上鳴は、まず学年トップクラスの頭脳を持つ二人へと助けを求めた。