第41章 号外
「天喰先輩もどうぞ!」
出久に隣の席を促されて、環も「あ、うん。じゃあ……」と恐る恐る腰掛けた。
爆豪、その隣にユカリ。
テーブルを挟んだ向かい側には奥から轟、出久、そして環。
周囲の視線も手伝って、なんとも異様な緊張感漂うテーブル席が出来上がった。
「ねぇ爆豪くん、今朝絶対怒ったでしょ?」
ユカリがくすりと笑いながら、隣の爆豪の顔を覗き込む。
「あ?」
「新聞」
「…………るせ」
気まずそうに顔を背ける爆豪。
その正面の席から、轟が淡々とした口調で事実を告げた。
「うちのクラスにあった号外、全部爆豪が灰にしました」
「……えっ?は、灰……!?」
衝撃の発言に、環が真っ青な顔をしてガタガタと震え出す。
「あ、あはは……そうだね……」
冷や汗を流しながら出久は苦笑いするしかない。
「……つーか、そっちは平気なんかよ」
爆豪がボソリと呟いた。
クラス中、ひいては学校中から注目を浴びている彼女の立場を案じるような、不器用な気遣い。
「……え、私?」
ユカリは少しだけ考えるように間をおくと、すぐにいつもの柔らかな笑みを浮かべた。
「うん、本当だから平気」
元々、騒がれること自体には慣れている。
それに、爆豪と付き合っているというのは紛れもない事実だ。
だから嫌な気持ちも、怒る理由もどこにもなかった。
「……そーかよ」
爆豪はバツが悪そうにそっぽを向いたが、その耳元から頬にかけてがほんのりと赤く染まっている。
(あああ、かっちゃんが照れてる……!!)
向かい側に座る出久が、心の中で叫びながらその光景を必死に見つめる。
「爆豪、顔が赤いぞ」
そんな爆豪の微妙な変化を、轟が容赦なく淡々と指摘した。
「るっせんだよ!! テメェは黙って蕎麦食ってろ!!」
一瞬で真っ赤になった顔を誤魔化すように、爆豪の大声が食堂に響き渡った。