第41章 号外
「だが、私からもいいかい? なぜ爆豪少年だと分かったんだい? 校内では色々な噂が飛び交っていたようだが……」
「…………」
相澤は缶コーヒーを一口口にし、ゆっくりと背もたれに体重を預けた。
「―――爆豪には諦めるという概念がない。それだけです」
「なるほど……! 確かに彼なら、どれだけ壁が高かろうがねじ伏せてでも届くところまで行きそうだ!」
「ザッツライト! 壁どころか山だって更地にして突き進むタイプだからなアイツは!」
教師たちの楽しげな雑談が続く中、相澤は手元の号外へチラリと視線を落とした。
いつも周囲の顔色を伺い、誰にでも優しく、けれど自分の本当の望みからはそっと目を背けていた教え子。
断ることには慣れていても、自分から「これが欲しい」と手を伸ばすことなんて、一度もなかったはずだ。
選んだ。
誰かに流されたわけでも、押し切られたわけでもなく。
自分で欲しいものを選んだのだ。
あのユカリが。
自分が見てきた中では、これが初めてのことかもしれない。
(……やればできるじゃねぇか)
相澤は誰にも気づかれないほど微かに口元を緩めると、缶コーヒーを置いて、ホームルームに向かうべく立ち上がったのだった。