第41章 号外
その喧騒を横目に、出久は恐る恐る轟の席へと歩み寄った。
「あ、あの、轟くん……」
その背後には、芦戸を筆頭にクラスの女子たちが吸い寄せられるようにして集まってくる。
「……こ、これって本当……なのかな……?」
出久がおどおどと尋ねると、轟は机の上に広げた号外を見つめたまま、平然と頷いた。
「ああ。事実だ」
「「「えええええっっ!!???」」」
女子陣から悲鳴に近い大歓声が上がる。
「えっ、いつから!?いつからなの!?」
芦戸が身を乗り出して食いつくと、轟はあっさりと答える。
「たぶん昨日だ」
「てめっ、轟ィ!! 勝手にペラペラ喋ってんじゃねぇぞクソが!!!」
爆豪の怒号が飛んでくるが、轟は至って平然とした顔で振り向く。
「?事実なんだから別にいいだろ」
「天然くそうぜぇ!!!」
どこまでも噛み合わない二人に、周囲はハラハラしながらも興味津々だ。
だが、そこで出久が、ふと心配そうな顔で轟を見つめた。
「轟くん、あの……大丈夫、なの……?」
クラスの誰もが、轟もまたユカリに特別な想いを寄せていたことを知っている。
その問いかけに、轟は一瞬だけ目を丸くしたあと、フッと穏やかに口元を緩めた。
「ああ。ちゃんと話した。だから納得してる」
すっきりとした、どこか大人びた表情。
クラス一同が「よかった……」と胸をなでおろした、その次の瞬間―――
「轟ィィィ!!ようこそ俺の世界へぇぇぇ!!!」
突如、弾丸のようなスピードで峰田が飛んできた。
「失恋の痛みはオイラが一番よく分かってんだよ!! 泣いていいんだぞ轟ぃ!男はな、そうやって傷を重ねて大人になんだ……!」
涙を流しながら熱く先輩ヅラをする峰田に、轟は真顔で深く頷く。
「そうか。お前は詳しいんだな」
「おうよ!まずは酒(※ジュース)でも飲んで傷を癒やすところから始めようぜ!」
「なるほど、参考になる」
「真面目に聞いてんじゃねェェ!!!」
爆豪のツッコミが響き渡り、1年A組の朝はさらなる混沌へと包まれていくのだった。