第40章 告白
だが、爆豪の並外れた反応速度をもってしても、ユカリの繰り出す指示には一瞬の猶予すら許されなかった。
「重心もっと下げて!」
「ッ……!」
「足裏で地面捉えて! 跳ねない!」
「チッ……!!」
舌打ち混じりに歯を食いしばりながらも、指示された体の使い方は一瞬で完璧に叩き込んでいく。
自分からお願いした訓練だ。
文句を垂れるヒマがあるなら一秒でも早くモノにしてやる——
そんなギラついた意地だけで、ユカリの指導に必死で喰らいついていた。
(……すげぇ、爆豪の奴、あのスピードで一回も指示に遅れてねぇ……!)
傍らで見つめる切島は、息をのんでその凄まじい身のこなしに見入っていた。
自分が受けた時と同じ地獄のメニューだからこそ痛感する。
あの時は地味さとキツさに心が折れそうになったというのに、爆豪は一切の迷いもなく、圧倒的なスピードでその過酷さをねじ伏せようとしていた。
***
そして、一時間後。
「そこまで!」
制止の声が訓練場に響き渡る。
それと同時に、爆豪はその場にガツンとブレーキをかけた。
「ハァ……ッ、ハァ……ッ、ハァ……ッ!」
床にボトボトと汗を滴らせ、肩を激しく上下させる。
あの型破りなタフさを誇る爆豪が、呼吸を乱して膝に手を置くほどの運動量。
一分一秒たりとも気を抜かず、極限の負荷に耐え抜いた証だった。
ユカリがそんな爆豪のすぐそばまで歩み寄り、覗き込むように視線を合わせる。
「どう? 感覚つかめそう?」
爆豪は腕で顔の汗を雑に拭うと、荒い呼吸のままぐっと顔を上げた。
疲労の色なんて微塵も見せず、その瞳にはなおも獰猛な光が滾っている。
口元を不敵に歪め、言い放った。
「ハッ……当たり前だろ。全部自分のモノにしてやる」
弱音なんて一言も吐かず、ただ強くなることだけを見据えて不敵に笑う男。
ユカリの瞳が、誇らしそうにふわりと細められた。