第40章 告白
上鳴たちの笑い声が遠ざかり、残されたのはユカリ、環、轟、そして爆豪の四人だけ。
さっきまでの賑やかな空気が落ち着き、朝の静かな時間が流れる。
その沈黙を破るように、轟がゆっくりと口を開いた。
「爆豪」
「あ?」
「ユカリ先輩と、話した」
爆豪は足を止め、無言を突き通す。
茶化すことも煽ることもせず、ただ静かに背中で聞いていた。
轟がどれほど本気で彼女を想っていたかを知っているからだ。
「ユカリ先輩を頼んだぞ。……でも、泣かせたら承知しねぇからな」
まっすぐで力強い言葉。
爆豪は短く鼻で笑うと、首だけを振り返らせた。
鋭い赤い瞳が轟を射抜く。
「ハッ……誰が泣かすかよ」
揺るぎない覚悟を込め、言い切る。
「死んでも絶対、渡さねェ」
「……ならいい。安心だ」
轟は小さく笑みを浮かべると、ユカリのもとへ歩み寄った。
すれ違いざま、彼女だけに聞こえる小さな声で耳元に囁く。
「ユカリ先輩」
「うん?」
「――来世で待ってます」
「っ!?」
あまりにも予想外な言葉に、ユカリの思考が真っ白になる。
みるみるうちに顔が熱くなり、耳まで真っ赤に染まっていった。
(ら、来世……!?)
だが、その囁きを聞き逃すはずもない男が一人。
「あぁ!?来世も渡さねェ!!」
爆豪の怒声が、静まりかけた空間を叩き割る。
轟は何食わぬ顔で首を傾げた。
「なんでだよ。今世譲ったんだから、来世くらい良いだろ」
「いいわけねぇだろ!!一秒たりとも渡す気ねぇっつの!!!」
「欲張りだな」
「あぁん!?」
今にも掴みかかりそうな爆豪と、どこか楽しそうにそれをかわす轟。
二人のやり取りを少し離れた場所で見つめていた環は、しばらく真剣に考え込んだあと、真顔のままぽつりと呟いた。
「……いや、そもそも来世が人間かどうかもわからない……」
「環、そこ?」
あまりに予想外すぎる角度からの冷静なツッコミに、ユカリは思わず吹き出してしまった。