第39章 Team Up Mission
やがて、激しい嗚咽が少しずつ収まり、彼が深く息を吐き出した時。
ユカリは静かな声で言葉を紡いだ。
「エコーさん」
そっと顔を上げたエコーに、ユカリは一番穏やかな眼差しを向けた。
「あなたは今まで、たくさんの人の最後を救ってきました。……今日、あの人の最後の瞬間まで、救ったみたいに」
そして、あたたかく微笑む。
「だから……今度はあなたが、誰かに救われたっていいんです」
その言葉を聞いた瞬間、エコーは再び声を上げて泣いた。
今度は自分を責めるためではなく、長年押し殺してきた痛みをすべて流し去るように。
ヒーローと、ヴィラン。
ユカリにはまだ、その境界線にある正しい答えは分からない。
けれど、涙を流すエコーの背中を撫でながら、ユカリは心の中で静かに誓っていた。
どんな立場であれ、目の前で傷つき、悲しんでいる人がいるのなら。
自分はこれからも、こうして。
静かに手を差し出し続けるのだろう、と。
***
資料室の外。
静まり返った暗い廊下に、佇む二つの影があった。
まだ戻ってこないユカリを探しに来ていた、環と轟だった。
「ユカリ先輩、まだ戻ってこな――」
ノックをしようと轟が扉へ手を掛けかけた、まさにその時だった。
隙間から漏れてきたのは、小さな息の詰まる音。
「っ……!」
重く、悲痛な嗚咽。
大人の男が、喉の奥を必死に締めつけて押し殺そうとしても、溢れ出してしまう泣き声だった。
轟の手が、ピタリと空気の中で止まる。
隣にいた環も息を呑み、その場に固まった。
「…………」
二人は一切の音を立てないよう、息を潜める。
誰かに説明されたわけではない。
けれど、扉の向こうから伝わってくる切迫した空気だけで、理解してしまった。
(入っちゃ……いけない)