第39章 Team Up Mission
「ヒーローだからって、誰かの死に……その人の人生の終わりに慣れられる人なんて、どこにもいません」
ユカリは一歩、踏み出す。
「相手がどんな人であっても、あなたは分け隔てなくその最期を抱きしめてきた……だから今日、あのヴィランの人も……エコーさんの優しさを感じて逝けたんだと思います」
「………っ」
「でも……その優しさのぶんだけ、あなた自身の心は傷だらけになっています」
ユカリの瞳にも、静かな涙が浮かんでいた。
「もう……十分です。一人で抱え込まなくていいんです」
その一言が、数年間エコーを縛り続けていた強固な呪縛を破った。
エコーの唇が激しく震え、張り付いていた笑顔がガラガラと崩れ落ちていく。
「……なんで……」
掠れた、情けないほどの声。
「なんで君は……俺のこんな……格好悪いところ、見抜いちゃうんだよ……っ」
ポロリと、彼の目から大粒の涙が零れ落ちた。
「僕だって……っ! ヒーローなんだ……!」
「どんな奴の最期だって、ちゃんと届けてやるのが僕の仕事だ……! なのに……っ! もう嫌なんだ……!」
エコーは頭を抱え、堰を切ったように叫んだ。
「恨み言も……苦しみの声も……死にたくないっていう叫びも……っ!どんな悪人の最期も……全部、全部頭から離れないんだよ……っ!」
部屋に、彼の悲痛な嗚咽が響き渡る。
「温かかったなんて言われたら……っ! 俺はあいつを……敵として憎むことすらできないじゃないか……っ!」
膝から崩れ落ち、子どものように泣き崩れるエコー。
ユカリは隣にそっとしゃがみ込む。
激しく震える彼の背中に、自分のあたたかい手を静かに添えた。
言葉はいらない。
ただ彼が自分の痛みを吐き出し切るまで、静かにその存在を受け止めた。