第39章 Team Up Mission
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その夜。
四人が事務所へと戻ってきた頃には、時計の短針はすでに十の数字を指していた。
静まり返ったフロア。
スタッフたちが膨大な報告書に向き合い、カタカタとキーボードを叩く乾いた音だけが響いている。
「今日はもう上がって休みなさい」
エコーが三人へ労いの声をかけた。
「二日目で疲れも溜まってるだろう?明日に備えてしっかり眠るといい」
「ありがとうございます」
ユカリが深々と頭を下げ、環と轟も静かに一礼して仮眠室へと向かった。
部屋の灯りを消し、各自のベッドへと横になる。
激動の一日を過ごした環は、数分もしないうちに規則正しい寝息を立て始めた。
轟もまた、疲れを癒すように静かに瞼を閉じている。
けれど――
(……眠れない)
ユカリは毛布を引き上げ、暗い天井を見つめたまま小さく息を吐き出した。
今日、現場で聞いた男の子への「大好きだったよ」
昨日聞いた、奥さんへの「花火」
耳から、脳裏から、どうしても離れてくれない。
そして、それ以上に――
(あの人……)
エコーの笑顔が頭から離れなかった。
現場で一瞬だけ影を落とした表情。
コーヒーカップを持つ手の微かな震え。
「慣れた」と口にした時の、壊れてしまいそうな苦しい笑顔。
胸の奥が、ざわついて仕方がなかった。
ユカリは静かにベッドを抜け出す。
「……少しだけ、風に当たろう」
深夜の事務所は、昼間の賑わいが嘘のように別世界だった。
薄暗い廊下の足元灯だけがぼんやりと廊下を照らしている。
すれ違うスタッフの姿もない。
ふと廊下の突き当たりに視線をやると、一室だけ隙間から暖色の光が漏れていた。
(こんな時間に、まだ仕事……?)
足音を殺して近づく。
扉の脇には『資料保管室』と書かれたプレートがあった。
半開きになった扉からそっと中を覗き込む。
そこにいたのは、エコーだった。
パソコンに向かっているわけではない。
彼は棚の前に一人で座り、机の上に何冊もの古い大学ノートを広げていた。
一冊、また一冊。
愛おしむように丁寧にページをめくっている。