第39章 Team Up Mission
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事故から数時間後。
病院の待合室。
まだ状況を正しく理解できない幼い男の子が、震える祖父母の腕に抱きしめられていた。
エコーは男の子の目線に合わせて、優しくしゃがみ込む。
「お母さんからね、君に大切な伝言を預かってきたんだ」
男の子は不思議そうに首をかしげながらも、こっくりと頷いた。
「『悠斗。お母さんね……ちゃんと、大好きだったよ』」
「……えへへ」
男の子は嬉しそうに照れ笑いを浮かべると、小さな口を開いた。
「ねえ、お母さんいつ帰ってくるの? ぼくも大好きって、帰ってきたら言わなきゃ!」
無邪気な言葉。
その瞬間。
抱きしめていた祖父母の肩が激しく震え、必死に嗚咽を押し殺した。
何も知らず、ただ「お母さんが帰ってくる」と信じて無垢に微笑む男の子。
その姿を見つめるユカリは、胸を強く締めつけられ、思わず唇を噛みしめた。
幼すぎるこの子には。
まだ、「死」の本当の意味も、お母さんが二度と帰ってこないこともわからない。
この子が今日の言葉の本当の意味を知る日は。
何ヶ月後、何年後になるだろう。
そう思った瞬間、目頭が熱くなった。
ユカリはあふれそうになる涙を必死でこらえ、ただ静かに息を詰まらせていた。
***
帰り道。
夕焼けに染まる街並みを、四人は静かに歩いていた。
橙色の影が長く伸びる中、誰も口を開かない。
やがて、耐えかねたように轟がぽつりと呟いた。
「……あんな現場を」
自分の拳を見つめながら、声を落とす。
「毎日、見ているんですか」
エコーは歩みを緩め、少し考える。
「毎日じゃないよ」
柔らかく笑った。
「……でも、珍しくもないかな」
「………」
轟は絶句した。
「辛く……ないんですか」
その問いかけに、エコーは足を止め、茜色の空を見上げた。
ビルの隙間へと、夕日がゆっくりと沈んでいく。
「辛いよ」
ユカリたちも足を止める。
エコーは自嘲気味に少しだけ笑って、言葉を続けた。
「最初はね」
「でも……慣れたよ」
「ヒーローだからね」
そう言って、彼は再び前を向いて歩き出した。