第39章 Team Up Mission
すると今度は、報告書へサインを走らせていたペン先が、ぴたりと止まる。
エコーは一文字を書こうとして、そのまま数秒動かなかった。
何かを耐え忍んでいるようにも、深く苦悩しているようにも見える。
やがて、小さな息を吐き出すと、何事もなかったかのようにペンを動かし始めた。
ユカリの胸に小さな違和感が積もっていく。
現場で見た、一瞬だけ消えた笑顔。
さっきの震えた手。
止まったペン先。
どれも些細なこと。
だからこそ、気になって仕方ないのだ。
「……ユカリ先輩?」
轟の声に、ハッと肩が跳ねる。
「どうかしましたか?」
「……ううん」
ユカリは小さく首を振った。
「なんでもないよ」
そう答えたものの、視線は再びエコーの方へと向かってしまう。
その時、不意にエコーが顔を上げ、ユカリとまっすぐに目が合った。
「どうしたの?」
いつもの柔らかな笑顔。
「疲れちゃったかい?」
「あ……いえ。全然大丈夫です」
ユカリは慌てて笑い返す。
エコーは安心したように目を細め「無理しないでね」と再びPC画面へと視線を落とした。
その横顔を見つめながら思う。
(……大丈夫、かな……)
ユカリ自身にもよくわからない。
けれど、その違和感だけは静かに胸の奥へ残り続けていた。