第39章 Team Up Mission
――その頃。
現場から少し離れた、静かな路地裏。
張られたブルーシートの前に、エコーは静かに膝をついていた。
すぐ後ろには、息を呑んで見守る環が立っている。
シートの下に横たわっているのは、一人の男性だった。
エコーは被っていた帽子を脱ぐと、胸の前で静かに黙祷を捧げた。
そして。
そっと、男性の冷たくなり始めた手に自らの手を重ねる。
「――個性、『遺声』」
次の瞬間、エコーの瞳がわずかに揺れた。
脳内に響いてきた声。
それは。
掠れた、いまにも消えそうな男性の声。
『……美咲』
『今日帰ったら……一緒に、花火……』
『ごめんな……』
それだけだった。
あまりにも短く。
あまりにも切ない最期の言葉。
エコーはゆっくりと瞼を閉じる。
「……確かに、受け取ったよ」
そして噛みしめるように呟いた。
環は何も言えなかった。
息を詰まらせ、ただエコーの横顔を見つめることしかできなかった。
***
事故発生から数時間後。
現場の片隅で、一人の女性が崩れ落ちるように膝をつき、泣き叫んでいた。
幼い女の子を抱きしめながら。
「そんな……嘘でしょ……っ」
エコーがゆっくりと歩み寄る。
「突然お声をかけてしまい、申し訳ありません」
女性が涙に濡れた顔を上げた。
エコーは目線を合わせるように屈み、静かな声で語りかける。
「ご主人から……最後に、あなたへ伝えたい言葉を預かってきました」