第39章 Team Up Mission
午前中の活動は、事務所内でのデスクワークから始まった。
三人は書類の整理や巡回ルートの確認を手伝いながら、エコーの立ち振る舞いを間近で見つめる。
戦闘専門のヒーロー事務所とは違う。
飛び交う電話の内容は、避難所との密な連携、行方不明者の安否確認、そして遺族への連絡。
そのどれもが、人の心に寄り添う仕事ばかりだった。
「ヒーローの仕事って……本当にいろんな形があるんですね」
ユカリが感嘆の溜息とともに呟く。
「うん」
エコーは書類から目を離し、柔らかく微笑んだ。
「敵(ヴィラン)と戦うことだけが、ヒーローの役割じゃないからね」
その時だった。
――ピリリリリッ!
けたたましい緊急アラームが、静かだった事務所内に響き渡る。
瞬時にスタッフ全員の表情が引き締まった。
「〇〇区にて大規模なガス爆発が発生!」
「建物の一部が倒壊!多数の逃げ遅れた市民がいる模様!」
「現在、警察とレスキュー隊が出動中!」
エコーは卓上の無線機を手に取った。
「要救助者の状況は?」
『負傷者多数!現在救助活動を行っていますが……っ』
無線の向こうで、担当者の声が重く沈んだ。
『現場にて一名、心肺停止……医療班が死亡を確認しました』
事務所内の空気が、凍りついたように静まり返る。
エコーは一瞬だけ目を閉じ、胸の奥から吐き出すように小さく息を漏らした。
「……了解した」
その声は、驚くほど穏やかだった。
「行こう」
三人は力強く頷いて、エコーの後を追って送迎車へと飛び乗った。
***
現場に到着すると、視界を覆ったのは黒々と立ち上る凄惨な煙だった。
半壊した建物。
道路に砕け散ったガラス。
怒号とサイレンが交錯する混乱の中、エコーは迷いのない足取りで突き進んでいく。
「ユカリさん、轟くんは現場の救助補助へ。天喰くんは僕についてきてくれ」
「はい!」
三人は即座に散った。
ユカリと轟は瓦礫の撤去に加わり、救助された人々へ毛布を配って回る。
恐怖に震えて泣きじゃくる子どもを抱きしめ、必死に声をかけるユカリ。
大きな瓦礫を氷や炎で処理しつつ、怪我人を安全な場所へ運ぶ轟。
二人は夢中で動き続けた。