第39章 Team Up Mission
一通りの案内を終え、三人は奥の会議室へと移動した。
壁一面には事故や事件の過去資料、救助マップが整然と並び、中央のスクリーンには本日の予定が映し出されている。
部屋の椅子に三人が腰を下ろすと、エコーは一同を静かに見渡し、表情をほんの少しだけ引き締めた。
「まずは、僕の『個性』について話しておこうか」
一瞬にして、部屋の空気が緊張感で満たされる。
「個性名は――『遺声(いせい)』」
ユカリは息を止める。
「亡くなった方の体に触れることで……その人が最期に一番伝えたかった言葉を、一度だけ聴くことができる」
言葉の意味を理解した瞬間、ユカリの瞳が大きく見開かれた。
横では環が言葉を失って息を呑み、轟もまた驚きを隠せないように眉を動かしている。
「……そんな個性が」
轟の口から、溢れ出るような呟きが漏れた。
エコーは静かに、けれど力強く頷いた。
「聞こえた最期の言葉を、遺された家族や大切な人へ届ける。……それが、僕というヒーローの仕事なんだ」
静かな会議室に、彼の言葉だけがゆっくりと、深く染み渡っていく。
ユカリは胸の奥が熱くなり、じんと痺れるような感覚を覚えていた。
(……すごい。戦うだけじゃなくて、こんな風に誰かの心を救うヒーローがいるんだ……)
言葉の重みに圧倒されながらも、ユカリはエコーの横顔を見つめていた。
まだこの時の三人は知らない。
その温かく優しい笑顔の裏で、エコーがどれほど多くの「最期」を、背負い続けてきたのかを。