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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第38章 日曜日




***


夜風が心地よく頬を撫でる帰り道。

​「1年寮まで送る」と言って聞かない​ユカリに、爆豪は「要らねぇ」と一蹴したものの、結局突っぱねきれずに二人並んで歩いていた。

街灯のオレンジ色の光が、静かな夜道を照らしている。

​「今日はありがとう、爆豪くん」

​隣の​ユカリが、心底幸せそうに微笑んだ。

​その笑顔があまりにも眩しくて、爆豪は直視できずに「……フン」と短く鼻を鳴らすのが精一杯だった。

本当は胸の奥がぎゅっと跳ねていたけれど、それを悟られるわけにはいかない。

​「……実はね、さっきチームアップミッションの連絡が来てたの。明日から数日間、現場に行かなきゃならなくて」

​ご飯を食べ終えたあと、スマホに届いていた通知を​ユカリは思い出していた。

​「そうかよ」

​爆豪は短く返す。

プロヒーローのもとでの実践派遣——ヒーロー科の生徒であれば日常茶飯事のことだ。

​「だから、格闘訓練は帰ってきてからでいい?」

​「当たり前だろ」

​『俺に叩き込め』と交わした約束。

それが数日遅れたところで、爆豪の覚悟が揺らぐわけもない。

​ただ——

ひとつだけ、どうしても気にかかることがあった。


​「……で。今回は誰と行くんだよ」


​チームアップミッションは、基本的に複数人のチームで編成される。

学年や校区の垣根を越え、ヒーローを目指す者たちが現場の経験を積むための大切な実践訓練だ。

​爆豪の問いに、​ユカリはほんの少しだけ言いづらそうに間を置いた。

​「私と、環と……」

​「おう」

​あの天喰なら問題ない。

だが。


​「………轟くん」


​ぴたり、と爆豪の足が止まった。

​夜の静寂が、二人の間に重く立ちこめる。

​轟焦凍。

​ユカリに想いを寄せ、彼女の心をずっと揺さぶってきた存在。


​(……あいつと、数日間ずっと一緒、だと……?)


​胸の奥を鋭い焦燥感が突き刺す。

その数日間で、二人の間に何かが起こってしまうのではないか。

嫌な予感が渦巻くのに、それを止める権利も、引き留める口実も今の自分にはない。

それがたまらなく苦しかった。


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