第38章 日曜日
「……ミリオはいつもこう」
端の方で静かに見守っていた環がぽつりと呟く。
そしてねじれも楽しそうに笑う。
「そうそう!だから面白いんだよね〜!見てて全然飽きないの!」
「うん。ミリオといるといつも笑ってる気がする」
エプロンの紐を結び直しながら、ユカリも柔らかく笑みをこぼした。
ミリオはいつだってそうだ。
みんなの笑顔が見たくて。
いつも自分から場を明るくしてくれる。
周りが笑ってくれることが、彼にとって一番の喜びなのだ。
周囲が温かい空気に包まれる中、当の爆豪は手際よく食材の下準備を進めていた。
ふと、ポケットから取り出したのは見慣れない黒のヘアバンド。
それを雑に頭に装着すると、鬱陶しそうに前髪を全て上に押し上げた。
いつもと違う、完全なデコ出しスタイル。
「……ッ!?」
あまりにも新鮮すぎる爆豪の姿に、キッチンを囲んでいた四人の目が一斉に丸くなる。
「……んだよそのツラは」
環の言葉を失ったような視線に気づいた爆豪が、眉根を寄せて睨みつけた。
「………初めて見た」
「えー!?爆豪くんかわいい〜!!」
「……は?」
ねじれが目を輝かせてはしゃぐと、爆豪が低い声で威嚇する。
だがミリオも一緒になって身を乗り出してきた。
「おお! 斬新!いつもと違って見えるね!?」
(……別に1年寮でもやってることだろが。普通だろクソが)
心の中で悪態をつきながら、自分を覗き込んでくる先輩たちをあしらおうとした――その瞬間。
隣でエプロンを結び終えたユカリと、バッチリ視線が合ってしまう。