第38章 日曜日
爆豪は満足そうにニヤリと口元を緩めると、そのまま湊くんの肩をポンと叩いた。
「おい、こっち来い」
そう言って視線で示した先は、出口付近にあるガチャガチャのコーナーだった。
トコトコとついてくる湊くんに、爆豪はポケットから財布を取り出す。
「一回やらせてやる」
「え!いいの!?」
「一回だけだぞ。何狙いだ」
「ぼく、オールマイトがほしい!!」
「だよな、俺も」
爆豪はフッと不敵に口角を跳ね上げると、コインを投入口に滑り込ませた。
ハンドルに小さな手をかけた湊くんの顔を覗き込み、大真面目な顔で低い声を張る。
「――いいか湊、回す時ガチで祈れ」
「が、がち……?」
「おう。死ぬ気で祈れ。じゃねーとオールマイトなんて当たんねェ」
「うん!わかった!僕がんばる!!」
真剣そのもののやり取りに、ユカリは思わずクスッと笑ってしまう。
まるで『男の子』が二人並んでいるみたいだ。
「気合いで回せ!」
「あたれーーー!!」
カチャリ、と重い音を立ててカプセルが転がり出てくる。
二人が固唾をのんで覗き込む。
おそるおそる殻を割ると――
中から現れたのは、黄金の雄姿を描いたオールマイトのフィギュアだった。
「――っ!!おにいちゃん! オールマイト!!」
「っしゃ!」
大きな手と小さな手が、パンッと弾けた音を鳴らしてハイタッチを交わす。
「やったな湊!」
「うん!!」
無邪気に顔を見合わせて笑い合う爆豪の表情。
いつもの刺々しさが嘘のように柔らかく、まるで無垢な少年のようだった。
(あ……)
ふと、爆豪が勝利の余韻を残したままこちらに視線を向け、ユカリと正面から目が合う。
少し照れくさそうに、けれど誇らしげに目を細める彼の姿に、ユカリの胸がキュッと締め付けられた。