第38章 日曜日
会計を済ませ、袋詰めを終えたところでスーパーの出口へと向かう。
「おねえちゃん?」
ふいに下から聞こえた幼い声に、ユカリは足を止めた。
「湊くん?」
そこに立っていたのは、夏祭りのボランティアで迷子になったところを助けた5歳の男の子、湊くんだった。
「やっぱりおねえちゃんだー! それと、こわいかおの、おにいちゃん!」
「誰が怖ぇ顔だコラ」
見覚えのある顔を指さす湊くんに、爆豪が即座に低い声でツッコミを入れる。
「湊くんひとり? お母さんたちは?」
「ひとりじゃないよ!お父さんとお母さんはお肉のところ! お菓子ひとつだけ選んでいいって言われたから選んでたの!」
「そっか、えらいね」
ニコニコと答える湊くんだったが、ふと二人の距離感を見てパッと目を輝かせた。
「おねえちゃん、かれしいたんだね!」
「え?」
予期せぬ言葉に、ユカリは思わず言葉を詰まらせる。
「えっと……どうかなぁ?」
はっきり言えずに言葉を濁すユカリ。
その横で、爆豪がスッと腰を落とし、湊くんと目線を合わせた。
「おい、今なんつった」
「かれし!」
「いいこと言うじゃねーかガキ」
「ありがとう!」
「ふっ」
物間に絡まれていた時の凶暴さはどこへやら。
湊くんの言葉で機嫌を良くした爆豪を見て、ユカリは思わず吹き出してしまった。