第38章 日曜日
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自動ドアが開いた瞬間、ひんやりとした冷気が肌を撫でる。
休日とあって、店内は家族連れやカップルでほどよく賑わっていた。
爆豪は入口のカゴをひょいと手に取ると、迷いのない足取りで売り場を進んでいく。
その隣を並んで歩きながら、ユカリはふと思い出して声をかけた。
「あ、そうだ爆豪くん。牛乳と卵ならまだ残ってたはず」
「なら買わねぇ。必要なのは玉ねぎとパン粉、あとは肉だな」
歩みを止めずに即答する爆豪に、ユカリは感心しながら頷く。
「そっちの寮、調味料類はちゃんと揃ってんのか」
「うん。基本的なのは一通り置いてあるよ」
時間があれば料理をする機会が多いユカリは、寮の食材ストックも自然と把握していた。
普段からよく見ているユカリだからこその答え。
その言葉を聞いて、あの騒々しい先輩たちの顔が浮かんだのか、爆豪はハッと鼻で笑う。
「ま、あいつら見てたら誰が管理してんのかは想像つくけどな」
「ふふ、大丈夫。バッチリ揃ってるから」
そんな会話を交わしながら、二人は白い照明に照らされた精肉コーナーへと向かった。
整然とパックが並ぶケースの前で、ユカリはふたつの合挽き肉を見比べる。
「うーん……グラム数はほぼ同じだけど、どっちがいいかな……」
真剣に悩み込むユカリの頭上から、迷いのない低い声が落ちてきた。
「左」
「え、左?」
顔を上げると、爆豪は眉間を寄せたままケースの中を指差していた。
「脂の乗りがちげぇ。ハンバーグならそっちだ」
「……へぇ、すごい」
プロ顔負けのこだわりに感心し、ユカリの口元が思わずほころぶ。
「わかった。じゃあ左にするね」
ユカリが素直に挽肉をカゴへ収めるのを確認して、爆豪はそのまま次の売り場へ向かって角を曲がる。
その瞬間――
ドンッ
「あ?」
「ぶふっ!?」
勢いよく正面衝突した。