第4章 会えば白
「して、刹那。お前はこれからどうするつもりだ」
「どうする、とは…?」
刹那は質問の意味を理解しかねているようだったが、その一言で天元が事を動かしにかかったのだと五条はすぐに気付いた。
「以前は八百比丘尼を閉じるからと断られたが、閉じた今となっては外にいる方がお前にとっては危険だろう?」
刹那が1000年生きる八百比丘尼という存在だということ以外何も知らない五条に取って天元が言うところの『危険』が具体的に何を指しているかまではわからない。
しかし、不老不死、不老長寿の類が方々から付け狙われる存在であることくらいは想像に難くない。
だからといって今から天元が言おうとしていることにだって五条からしてみれば十分に危機感を覚える。
「これからは特級秘匿物として高専で、いや、ここで過ごすと良い」
それを耳にした途端、五条の抱いた危機感は瞬時に腹の底から込み上げる熱に変わり、そして冷えていった。
それなのに刹那は未だ嬉しそうに
「よろしいのですか?」
などと声を上げてるものだから五条の表情は険しくなる一方だった。
「もちろんさ」
感触の良い刹那の物言いに天元も気の良い返事をしている。
このままではトントン拍子で話が決してしまう。
そんなことはさせるわけにいかない。
7年前に守れなかった者の姿が脳裏に浮かんだ。
天元にその短い人生を狂わされた少女と刹那の姿が重なる。
(天元と共にあることは刹那の幸せになるのか?)
(『特級秘匿物』……『秘匿』ってなんだよ)
(それはテイの良い囲い込みや幽閉と何が違う?)
「ねー、ちょっと待ってくれる、天元サマ?」
今まで口を挟まずに何とか静観を決め込んでいた五条だったが、遂にその口火を切った。
先程、天元が話した内容が引っかかっていた。
(さっき天元は、刹那は僕と『接触したから存在を感じられた』と言った。僕が接触しなければ『特級秘匿物』なんかにならなくて済んだってことだろ)
しかし、その文言が出てしまった以上、『特級秘匿物』自体を撤回させるのは骨が折れる。
それならば五条が取れる手段は限られていた。