第3章 招いて赤
五条は部屋全体に内から出られない結界を張るとベッドに横になった。
刹那は部屋の隅の方で座り込んでこちらを見ている。
「そんなに見られてたら休めないんだけどー」
「申し訳ありません」
そう言って刹那は目を閉じた。
「君も少し休みなよ。朝になったら尋問なんだから」
「はい。そうさせていただきます」
その言葉を最後に刹那は動かなくなり、規則正しい呼吸が続いた。
それを見て五条もようやく目を閉じて、しばし意識を手放す。
どれほど眠っただろうか。
体感的にはそれほど眠っていないように感じた。
目を覚まし、部屋の隅を見ると座っているはずのところに刹那はいなかった。
しまったとばかりに飛び起きると部屋を見渡す。
「……なんだ、これ?」
部屋の中が片付いている。
ソファに脱ぎ捨てていた服は綺麗に畳まれて置かれている。
机の上に散らばっていた資料や書籍は整頓されて並べられている。
出しっぱなしだったコップ類は洗われている。
そして、風呂場の方からパンパンと何かを叩く音がする。
行ってみると刹那がシャツの皺を伸ばして干しているところだった。
「…何してんの?」
「あ、五条さん、お早うございます。洗濯物とおぼしき衣類があったので洗わせていただきました」
柔和な、しかし満足げな顔をしている。
「あ、ありがとー♪じゃなくて、なんで?」
「五条さんが『仕事が忙しくて片付ける暇がない』とおっしゃっていたので…」
「いやいや、それでも普通やらないっしょ」
「ご迷惑でしたか…?」
眉を少し下げ、覗き込むように尋ねる目は反則だと五条は思った。
「いや、迷惑ってわけじゃないけど。てか、この部屋、洗濯機ないのにどうやって洗濯したの?」
「?洗濯板がなかったので手で洗いましたが」
「うわ、マジか。結構、量あったでしょー?」
そう言って寝る前までどのくらい洗濯物があったかに思いを馳せる。
時間が出来たらまとめて洗おうと思っていてなかなかその時間が取れずにいたのでまぁまぁの量があったはずだ。
そうして五条はハッと大変なことに気付く。