第1章 OKの理由/二子/クラスのギャル女子/日常
「……意外と言えば」
「……んー?」
「結城さんも意外と、……」
「……なに」
「……いえ。何でもないです」
繭は歯切れの悪い言い方を残し、そのまま去ろうとする二子に向かって足を急がせた。
横から回り込む勢いで、二子の進路を妨害して声を大きくする。
「気になるじゃん!言えよ」
「……何も、ないです」
「コラっ!ふざけんな!」
「……別に、いいです」
「絶対別にじゃないヤツだろ!」
さっきまでは淡々と敬語で斬り込んできたくせに、急に口ごもっているからますますその先の言葉が気になるではないか。
繭は必死の表情のまま、ずんずん二子に距離を詰めてゆく。
「……近くないですか」
「お前が言わないからだろっ!」
少しだけ顔を左右に泳がせ、二子は一旦肩を落とす。
そして、一番最初のような小声で話し出した。
「この前の雨の日」
「それが?」
「見えてました」
「何が?」
「結城さん、透けてましたよ」
「…………は?」
雨、見える、透ける。
そして相手は後ろの席だ。
この言葉から連想出来るものはシンプルだった。
前の前の日にどんなものを選んだかは覚えていないが、派手ギャルのくせに下着は意外と王道清楚系、だとでも言いたいのだろうか。
だとしたら、これは許しがたいことだ。