第2章 餞別/氷織/双子妹/微病み
一番奥底にしまっているものを見つけてもらえたような。
気付いて欲しい相手は羊じゃないのに、なんでお前がそれをするんだと思うとたまらなく腹が立つ。
「ママには言わないでね」
「……別に言わへんよ」
本気で妹を心配するなら言うはずだ。
本気でこの家を改善したいなら言うはずだ。
でもそれをしないのは、汚いものには蓋をして自分だけは逃げて自由に綺麗になるつもりだからだ。それが答えなだけ、それもわかる。
肯定しているようで、味方に見せかけて、拒否をしない思いやりのメッキで固め、その貼り付けた仮面みたいな優しさが、本当に気持ち悪いと思う。
繭は手元を隠した。これ以上、ここにいたくないからだ。
どれだけ勝手に罵っていても、結局は同じ穴の狢だ。
羊は物理的に自分が逃避をする形で、繭は心の痛さを身体に変換する形で、それぞれ必死に、あのモンスター達から自分を守っているだけの話だ。
同志であり敵、味方であり憎悪対象、兄妹でありこんなの家族じゃない。
未だに微かな期待を捨てられない弱い自分を、自分で消してしまいたい衝動に駆られる。
繭は静かに振り返り、部屋に戻ろうとする。