【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第18章 パーティー×初恋×五条
状況が飲み込めない。
しかし。
そんな彼女をよそに。
廊下には奇妙な沈黙が落ちていた。
誰も動かない。
誰も視線を逸らさない。
そんな中。
「はぁぁぁ……」
大きなため息が響いた。
五条だった。
心底疲れたように頭を掻く。
「どうもこうもないよ」
いつもの調子に戻った声。
けれど。
どこか諦めたような響きも混じっていた。
「子供が大人の事情に口挟まなくていいの」
そう言いながら。
握っていたの手首をぱっと離す。
解放されたは思わず自分の手首を見た。
赤くなってはいない。
けれど。
状況が状況だっただけに頭が追いつかない。
「えっと……?」
困惑したまま二人を見る。
五条は肩を竦めた。
「ほら」
顎で乙骨を示す。
「迎えに来てるじゃん」
その言葉に。
乙骨は静かにへ歩み寄った。
先ほどまでの笑顔はそのまま。
穏やかで。
優しくて。
けれど。
どこか譲る気のない表情。
「さん」
「う、ん…?」
「返してもらいますね」
その言葉と同時だった。
ふわり。
視界が持ち上がる。
「あっ…」
気付いた時には遅かった。
の身体は乙骨の腕の中にあった。
いわゆる。
お姫様抱っこだった。
「ゆ、憂太くん…!」
慌てて乙骨の肩へしがみつく。
落ちる心配は全くない。
むしろ驚くほど安定している。
だが問題はそこではない。
「お、降りる…!」
「だめです」
即答だった。
「だって…は、恥ずかしい…かも…」
「酔ってる人を一人で歩かせられません」
「だ、大丈夫だから…そんなに酔っ」「十分酔ってます」
反論の余地がなかった。
乙骨はそのまま踵を返す。
五条の横を通り過ぎる。
その瞬間。
乙骨がちらりと視線を向けた。
「あとは僕が送るのでご安心ください。」
丁寧な言葉。
礼儀正しい口調。
完璧だった。
ただ。
その目だけは少しも笑っていなかった。
五条は思わず苦笑する。
「はいはい」
片手をひらひら振る。
「気を付けて帰りなよ」
「はい」
乙骨は短く答える。
そして。
もう振り返らなかった。