第3章 2
人の流れに入る。
向こうから、女の子たちが通る。
サンジの視線が、一瞬だけそっちに動く。
口が、開きかける。
「……」
でも、そのまま閉じる。
何も言わない。
代わりに、少しだけ息を吐く。
そのまま歩き続ける。
みかは気づかない。
ただ、隣を歩いている。
人の波に押されて、体が揺れる。
腕が引かれる。
「危ねぇな」
低い声。
気づけば、すぐ近くにいる。
思っていたより、距離が近い。
みかは一瞬だけ固まる。
「……すみません」
「謝るなって」
軽く言う。
でも、手はすぐには離れない。
ほんの少しだけ、そのまま。
…ゆっくり手が離れる。
そのまま並んで歩く。
さっきより、少しだけ距離が近い。
理由は、まだない。
でも。
離れる理由も、なかった。