第15章 冬島
部屋を出る頃には、廊下の空気もすっかり変わっていた。
さっきまでの静けさが嘘みたいに、人の声が聞こえる。
笑い声。
足音。
扉の開く音。
ウソップが何度も周囲を見る。
「ほんとに戻ってる……」
チョッパーもほっとした顔で頷く。
「よかったぁ……」
外へ出ると、雪は少し弱くなっていた。
曇っていた空の切れ間から、薄く光が差している。
ルフィが大きく伸びをする。
「なんか腹減り倍になった!」
「お前はずっと腹減ってるだろ」
サンジが呆れる。
町の人たちも、少しずつこちらに気づき始めていた。
今度はちゃんと目が合う。
「あれ?」
「さっきの海賊たちか?」
ウソップが感動したみたいに叫ぶ。
「会話できてるー!!」
そのまま最初に入ったレストランの前へ戻ってきた。
店員が扉を開けた瞬間、ぎょっとした顔をした。
「あっ」
ルフィが即座に指を差す。
「今度こそ飯くれ!!」
店員は数秒固まったあと、慌てて頭を下げた。
「す、すまねぇ!!」
「なんか頭がぼんやりしてて……!」
ウソップがぷんすかする。
「めちゃくちゃ無視したからな!?」
チョッパーも頷く。
「怖かったんだぞ!」
店員は青ざめながら何度も謝る。
そんな中
サンジは少し後ろで立ち止まっていた。
みかを見る。
無事に歩いてる。
普通に笑ってる。
それを確認するみたいに、静かに煙を吐いた。