第15章 冬島
女の身体が、少しずつ透けていく。
雪みたいに淡く崩れながら、それでも表情だけは穏やかだった。
ルフィが首をかしげる。
「消えるのか?」
女は小さく笑う。
「ううん」
「戻るの」
透けていた身体が、ふわりと光になって崩れた。
白い光は静かにベッドへ落ちていく。
部屋が静まり返る。
誰も動かない。
そして
ベッドの上の女の指先が、もう一度動いた。
ゆっくり。
本当にゆっくりと、閉じていた瞼が開く。
チョッパーが息を呑む。
「起きた……!」
女はぼんやり天井を見たあと、ゆっくり視線を動かす。
人がいる。
声がある。
誰かが自分を見ている。
その事実を確かめるみたいに、目が少し揺れた。
ローが静かに脈を確認する。
「……問題なさそうだ」
女の目から、涙がひと筋落ちる。
「……まだ、いた」
部屋の空気が、やっと普通に戻る。
遠くから。
町のざわめきが聞こえ始めた。
人の声。
笑い声。
扉の開く音。
ウソップが顔を上げる。
「町も戻ったのか……?」
ルフィがぱっと笑う。
「腹減った!!」
サンジが即座に蹴る。
「今その話じゃねぇだろ!!」
でも張り詰めていた空気が、その一言で少しだけ緩んだ。