第7章 宴
宴の喧騒はほとんど消え、甲板には静かな片付けの気配だけが残っていた。
少し離れた場所で、ロビンとみかは並んでグラスを傾けていた。
言葉は少ない。
「……いい夜ね」
ロビンがぽつりと言う。
「……はい」
みかが小さく答える。
ほんのりと頬が赤い。
そのとき
皿を抱えたサンジが、片付けの流れの中でふとその前を通りかかった。
足は止まらないはずだった。
でも一瞬だけ、視線が二人に向く。
ロビンがその視線に気づき、軽く目を上げる。
「……お邪魔かしら?」
その言葉に、サンジの動きがほんの少しだけ止まる。
「いや……別に」
短く返すが、いつもの軽さは少しだけ薄い。
ロビンは小さく微笑んで、視線を戻す。
「そう」
それだけ。
サンジは皿を抱え直すと、すぐに背を向ける。
「サンジくーん!こっちまだー!」
遠くからナミの声。
「今行く!!」
いつもの調子で返して、また忙しさの中へ戻っていく。
残ったのは、ほんの一瞬の余韻。
みかはそれを見送るようにグラスを持ったまま黙る。
ロビンは、その横で二人を見ていた。
何も言わず、ただ静かに視線を置く。
そして、小さく。
ふふっと笑った。
さっきまでと同じ静けさなのに、少しだけ温度が違っていた。