第7章 宴
夜。
港に停泊した船の甲板は、いつも通り騒がしかった。
笑い声、酒の匂い、食器の音が入り混じっている。
「サンジー!肉ーーー!!」
「うるせぇ今焼いてるって言ってんだろ!!」
サンジはフライパン片手に怒鳴り返す。
雑で、早くて、止まらない。
「おいルフィ!もう三回目だぞそれ!!」
「いいじゃん減るもんじゃねぇし!」
「減るわバカ!!」
叫びながらも手は動き続ける。
「サンジくーん!ワイン!」
ナミの声が飛ぶ。
「今行くって!!」
即答で返して、皿を放り投げるように持っていく。
「ほんと騒がしいわね」
ロビンが静かに笑う。
「だろうな」
サンジは適当に返す。
その忙しさの中で、甲板の端に視線が止まる。
みかがそこにいた。
「……おう、来てたのか」
一瞬だけ手が止まる。
でもすぐに動き出す。
「ルフィさんに誘われて」
「アイツはほんと自由すぎんだろ」
雑に笑いながら、皿を一枚差し出す。
「ほら、食え」
「ありがと」
そのやり取りは短い。
「邪魔すんなよウソップ!それ俺の皿!!」
「知らねぇよ!」
「ぶっ飛ばすぞコラ!!」
また怒鳴りながら走っていく。
その合間に、ふと視線だけが戻る。
みかを見る時間は短い。
でも何度か繰り返される。
みかはその空気に少しずつ馴染んでいく。
夜風が吹く。
宴は止まらない。
でもその中に、ほんの少しだけ違う静けさがあった。
距離は変わらないまま。
それでも、同じ場所にいる感じだけが少しずつ増えていく。