第7章 宴
喧騒はすでに完全に落ち着いていた。
甲板には片付けの音と、夜風だけが残っている。
「よし、だいたい終わりだなー!」
ルフィが伸びをしながら言う。
その横で、
ナミは軽くため息をつく。
「ほんとに騒がしかったわね」
「いつものことだろ」
サンジは皿を片付けながら返す。
声はさっきより少しだけ落ち着いている。
「ナミさん、それもう少し奥な」
自然に声をかけて皿の位置を直す。
「はいはい」
ナミも軽く笑って返す。
その少し離れた場所で、
ロビンは空になったグラスを持ち上げる。
みかと一瞬だけ視線を交わし、小さく頷く。
「……そろそろ戻るわね」
そう言って、静かにその場を離れていく。
みかはその背中を見送るだけで、何も言わない。
夜風が通る。
宴の熱はもうほとんど残っていない。
サンジは皿を樽にまとめながら、ふと視線を上げる。
甲板の端。
みかがまだそこにいる。
一瞬だけ、視線が止まる。
「……ナミさんも今日はもう休めよ」
言いながら、ほんの少しだけ視線がみかの方に寄る。
でも次の瞬間にはナミへ戻る。
「なによ、それ」
ナミは軽く笑う。
「珍しいじゃない」
サンジは皿を持ち直して、軽く息を吐く。
「ったく、いいからさっさと行けっての」
ナミはそれ以上は言わない。
そのやり取りの中で、サンジの視線はまた一瞬だけ甲板の端へ向く。
みか。
見て、すぐ逸らす。
夜風が通る。
宴の熱はもうほとんど残っていない。
言葉の少ないまま、船の夜だけが静かに深くなっていく。
何も大きなことは起きていないのに、
空気だけが少しずつ変わっていた夜だった。