• テキストサイズ

【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第2章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる II**


𓂃 side:伏黒恵 𓂃



目が覚めた時、最初に感じたのは鈍い違和感だった。


頭が重い。
身体も妙にだるい。


ぼんやりと天井を見上げて、しばらく動けなかった。
部屋はまだ薄暗い。
雨は小雨になったのか、昨夜ほどの音は聞こえない。


(……俺、いつ寝たんだ)


まだあまり働かない頭で、記憶を辿る。

が、お茶っ葉をもらってくると言って部屋を飛び出した。
俺は、その後を追いかけようとして――。



『恵、言ったでしょ』

『に、手出しちゃだめって』



笑いを含んだ、あの人の声。
そこで、俺の意識は完全に途切れている。



「……あの、クソ教師……っ」



弾かれたように身を起こして、視線を横へ向ける。

真ん中の布団は、もう空だった。
五条先生の姿はない。

その向こうでは、壁側の布団でがすやすやと眠っていた。


俺は自分の布団から抜け出して、音を立てないように眠るへ近づく。
すぐそばに膝をついて、その寝顔を見下ろした。


昨日、俺はに告白して――。


ごくりと唾を飲み込む。

キスした。
それも、何度も。
数えてなんか、いないけど。


自分の手のひらを、じっと見つめる。
浴衣の隙間に滑り込ませた手。
そこにまだ残っている、あの柔らかい感触。


思い出しただけで、身体の内側に火がついたみたいに熱くなった。


視線が、の少し開いた唇へ引き寄せられる。

静かな寝息。
無防備な寝顔。
昨夜、俺の名前を呼んだ声。

吸い寄せられるように、顔が近づいていた。
の呼吸が肌にかかった瞬間、昨夜のの顔が浮かぶ。



『さっきのは……ちょっと怖かった』



そう言って、目を伏せた少し悲しそうな顔。

からしたら、俺はまだただの同級生でしかない。
そのくせ、あんなふうにキスして。
怖がらせた。

それでも、俺の気持ちに向き合ってくれた。
だから、こいつは俺に正直に伝えてくれたんだ。


(なのに……何をしようとしてるんだ、俺は)


から顔を離そうとした、その時。
/ 78ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp