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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第2章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる II**


「……ん、むにゃ……」



が小さく寝言をこぼして、もぞりと寝返りを打った。



「……っ」



慌てて身を引く。
起きるのかと身構えたけれど、は反対側を向いたまま、また規則正しい寝息を立て始めた。

寝返りを打った拍子に、浴衣の襟元にかかっていた髪が落ちて。
白い首筋が、無防備に晒された。


そこには。

昨日、俺がつけた痕が――。


違う。
俺が残した場所に、さらに濃い色が重なっている。
まるで上から塗り潰されたみたいに。

それに、の目元は、泣いたあとみたいに少し赤かった。


(……五条先生と、何があった?)


俺が眠っている間に、二人は……。

最悪な想像が頭の中を駆け巡る。
心臓がドクンと嫌な音を立てた瞬間、襖の向こうで足音がした。

スパーンッと無駄に元気な音を立てて、部屋の襖が開く。



「おっはよー。いやー、朝風呂っていいねぇ」



湯上がりの五条先生が、首にタオルをかけたまま入ってくる。
白い髪は少し湿っていて、浴衣の襟元もいつもより緩い。

その視線が、俺のそばで眠っているへ向いた。



「あれ、まだ寝てる」



いつも通りの軽い声。
それが余計に、俺の神経を逆撫でした。

五条先生はそこで、ようやく俺に気づいたみたいに首を傾げる。



「恵ー、起きてたの?」



その余裕たっぷりの態度が、腹立たしくてたまらない。
俺は立ち上がり、先生を強く睨みつけた。



「……あんたっ」



怒りで声が震える。

昨日、俺を気絶させたこと。
の首に残された、あの痕のこと。
目元に残る、泣いたあとの赤み。

全部、問い詰めたい。

でも、ここで声を荒げたら、が起きる。
本人の前で、こんな話をするわけにはいかない。
それすら、この人にはわかっているんだろう。



「なに? 恵」

「……っ」

「昨日はよく眠れた? ぐっすりだったね」

「よくそんなこと言えますね。あんたのせいだろ」



五条先生は「あれ、そうだっけ?」とでも言いたげに首を傾げた。
本当に、腹が立つ。

こっちは一晩分の記憶を奪われて。
その間、好きなやつに何があったのかもわからなくて。

なのに、この人はいつも通りにへらへら笑っている。
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