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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第2章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる II**


「まあまあ。朝からそんな怖い顔しないの」



五条先生は俺の横をすり抜けるようにして、眠っているのそばにしゃがんだ。



「ー、朝だよー」



は小さく身じろぎしただけで、まだ目を覚まさない。



「朝ごはんだよー。起きないと、僕が全部食べちゃうよー」



そう言いながら、五条先生の手がの肩へ伸びる。

俺は考えるより先に、その手を弾いていた。
ぱしん、と乾いた音が部屋に響く。


五条先生の手が、の肩の手前で止まった。



「に触んな」



自分でも驚くくらい、低い声だった。

五条先生は俺を見てから、何も言わないままへ視線を落とす。
ほんの一瞬、その目がの首筋で止まった気がした。
それから、俺に叩かれた手を大げさにさすった。

絶対痛くねーだろ。



「恵にそんなこと言う権利、あったっけ? は、恵のものじゃないでしょ」



そんなことはわかっている。
昨晩、は俺のことを考えると言っただけで。
彼女の心はずっと、五条先生にあるのだから。

それでも、この人にだけは言われたくなかった。



「……でも、五条先生のものでもないでしょう」



悔しくて、吐き捨てるようにそう言った。

この人は、が自分を好きだと知っていて。
それを当たり前みたいに受け取っている。

俺が眠っている間に、二人の間で何があったのかはわからない。
それでも、が五条先生を選んだと決まったわけじゃない。


すると、五条先生の口元がわずかに動いた。
笑ったのか。
それとも、笑い損ねたのか。



「まあ、それはそうね」



その返事でわかった。
少なくとも、五条先生は否定しなかった。
はまだ、この人のものじゃない。



「だからさ、あんなこと言っちゃったんだよねぇ」

「……何の話ですか」

「さあ? こっちの話」



その言葉の意味を問い返すより先に。



「……ん……」



が身じろぎをして、そのまつ毛が微かに揺れた。

俺も、五条先生も。
同時に動きを止める。
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