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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**


「家ここ?」

「うん」

「じゃあな、歯磨いて寝ろよー」



そう言って、お兄さんはくるりと背を向けた。
その背中を見た瞬間、もう二度と会えない気がして。



「変なお兄さん!」



つい、大きな声で呼び止めてしまった。
お兄さんは振り返って、片眉をぴくりと上げる。



「誰が変なお兄さんだよ」

「あ、ごめんなさい……」

「どうした?」

「……ご、ごじょう、さん」



今日初めて会ったばかりの人なのに。
名前だって、今知ったばかりなのに。



「また……会える?」



心臓がどきどきしていた。
どうしてそんなことを聞いたのか、自分でもよくわからない。



「そうだな、気が……――」



五条さんは、ふと何かを言いかけてやめた。
少しだけ黙ってから、長い足を折りたたむみたいにして、私の前にしゃがみ込む。

頭にぽんっと手を置かれ、ちょっと乱暴にがしがしと撫でられた。



「……うん。会えるよ。は僕とおんなじ、特別で変なやつだからね」



それは、ただの慰めじゃなくて。
絶対なんてないのに、なぜか本当になる気がした。
不思議な魔法みたいな、約束。


それから、五条さんは小さな白い包みを私の手のひらに乗せた。
さっき五条さんが食べていたお菓子だ。



「喜久福。僕のお気に入り」

「ありがとう、五条さん」

「またね、」



五条さんはひらひらと手を振ると、くるりと背を向けた。
夕焼けの中で、白い髪だけがきらきらしている。
その遠ざかっていく背中を、私は喜久福を持ったまま、ずっと眺めていた。













それが――私と先生の最初の出会い。
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