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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第2章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる II**


「さっきのは、僕が悪かった」



言い慣れない言葉は、やっぱりちょっと居心地が悪い。
それでも、の涙をそのままにしておく方が、もっと嫌だった。


の頭の上へ手を置いて、よしよしと撫でる。
拒否されなかっただけで、少し安心した。



「……僕、お風呂行ってくるね」



壁についた手も離して、いつものように振る舞った。



「え……?」

「もう遅いし。は、先に部屋戻ってて」

「あ、は、はい……」

「じゃ、おやすみ」



ひらひらと手を振って、に背中を向ける。
背中越しに、が部屋へ戻っていく足音が聞こえた。


その音が部屋の中へ消えたのを確認してから、僕は隣にあった自動販売機に拳を叩きつけた。
鈍い音が廊下に響いたけど、そんなのどうでもよかった。


(……僕、何がしたいの)


大雨の中、わざわざ旅館まで押しかけて。
恵とにイライラして。
挙句の果てに、あんな言葉をぶつけて泣かせて。

今までだって、誰かが泣いたって何も感じなかったのに。


あー、さっきから鼓動がうるさい。
の涙を見た時からずっと変だ。


ただ、が急に僕を見なくなったから。
恵なんかを見て、あんな顔をするから。
それが少し、気に入らなかっただけ。
そういうことにしておけばいい……なのに。


何度そう片づけても、胸のあたりに残った違和感は消えなかった。



「……何これ」



誰もいない薄暗い廊下で、思わずそんな声が漏れる。




もしかして僕……――。



そこまで考えて、呆れたように笑うしかなかった。






「……まじ?」




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