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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第2章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる II**


僕がこの部屋に来てからずっと。
が、ただの一度も僕と目を合わせようとしないことだった。


いつもなら僕の姿を見た瞬間に、顔を赤くして。
嬉しそうに僕だけを見つめてくるくせに。
今は、僕から逃げるように顔を伏せている。


……なんか、ムカつく。



「……ま、いいけどね」



僕はゆっくりと身体を起こした。



「五条先生?」



警戒する恵を無視して、その後ろで小さく丸まっているの腕を掴んで引き寄せた。



「は、僕が来て嬉しいよね?」



引き寄せた腕を指先でなぞると、の肩がびくっと跳ねて、弾かれたように顔が上がった。

頬は熱を持ったように赤い。
僕に触れられて、ちゃんと反応している。
それなのに、唇だけは何かを隠すみたいに、きゅっと硬く結ばれていた。


そのまま僕を見ていればいいのに。
の視線は迷うように揺れて、恵の方へ逸れた。

なんで、そこで恵を見る必要があるの?



「は、はい……っ。先生来てくれて嬉しいです……」



そう答えたくせに、は僕の手をやんわりと外して、そそくさと立ち上がった。
するりと、手のひらからの体温が抜け落ちる。

僕は、空っぽになった手を見下ろした。

……え?
僕、避けられてる?
が。
僕を。



「あ、そうだ……先生、お茶飲みますか」



逃げる口実を見つけたみたいに、は部屋の隅に置かれたお茶セットへ手を伸ばした。

その動きは明らかにおかしい。
急須を取る手つきも、湯呑みを並べる指先もぎこちなくて、動揺しているのが丸わかりだった。



「……っ、お茶っ葉、切れちゃってるので。旅館の人にもらってきます!」



は弾かれたように立ち上がり、部屋を飛び出していった。
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