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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第2章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる II**


窓枠に肘をついて流れる景色を見ていると、遠くの空が一瞬白く裂けた。



「今の、かなり大きいですね。もしかすると旅館の方も停電しているかもしれません」

「……停電ね」



暗い部屋。
一つしかない部屋。
二組の布団。
恵と、……――。


(まぁ……確認するだけ)


僕はスマホを取り出し、恵に電話をかけた。
呼び出し音が鳴り始める。


一回。二回。三回。


画面を見下ろしたまま、つい手に力が入る。


四回。五回。


長い呼び出し音のあと、留守番電話の案内音声に切り替わる。
親指で画面を叩いて、通話を切った。
スマホの画面を、しばらく見下ろす。


恵が電話に出ない。
たったそれだけのことなのに、妙に引っかかった。

気づいていないだけかもしれない。
もう寝ているだけかもしれない。
大して気にすることじゃない。



でも、今夜だけ――。



が恵の隣で違う顔をしているかもしれない。



……やだな、それ。
それ以上は、なぜか考えたくなかった。





、だめだよ。

僕以外を見るなんて。

そんなこと、覚えなくていい。


何考えてんだろうね……僕。

可愛い教え子だから?
僕を好いてくれるのが、面白くて心地いいから?

どれも、たぶん間違ってはいない。
でも、それだけじゃこの気持ちを説明するには足りない気がした。


窓を叩く雨音が、僕を煽ってくる。



「……急いで、伊地知」

「は、はいっ」



雨の中、車はさらに速度を上げた。
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