第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**
私は目を閉じたまま、ぎこちなくそのキスを受け止めた。
「んっ……」
舌が触れ合う感覚に、身体がぞわぞわした。
伏黒くんが私の肩を抱き寄せて。
それと同時に、浴衣の合わせに入ったまま止まっていた彼の手がまた動き出す。
「ぁ、そこは……っ」
素肌を直接なぞられる感覚がくすぐったい。
身をよじろうとしたのに、伏黒くんの手は浴衣の奥へ滑り込んでいく。
その手が私の胸に直接触れた瞬間――。
(あっ、し、下着……!!)
伏黒くんの動きが、ぴたりと止まった。
雨でずぶ濡れになったから、さっき洗って部屋の浴室に干したままだった。
まさか、こんなことになるなんて思っていなかったから。
「……、もしかして……下も履いてないのか?」
伏黒くんの声を聞いただけで、普段冷静な彼が驚いているのがわかった。
違う。
違うの。
彼の言いたいことがわかって、一気に顔が熱くなった。
「は、履いてるよ! 下はちゃんと履いてるもん……!」
「……」
え、引いてる?
普段から、下着つけないへんたいとか思われてる!?
「上は洗って干したけど、下は……っ、ドライヤーで必死に乾かしたの!」
「……そうか」
「だ、だから、その、露出狂とかじゃないから……!」
「……思ってねぇよ」
伏黒くんを見ると、顔が少し赤い気がする。
いや、それより胸……私の胸に伏黒くんの手が!?
心臓ドキドキしてるの、絶対伝わってる。
すると、伏黒くんの手がためらうように動いた。
大きな手で包まれて、ふにゃりと指が沈む。
「あ、んっ……」
ひゃぁ、今のなに!?
自分の声じゃないみたい。
くすぐったいのに、変な声が出ちゃう。
これ以上こんな声を聞かれたくなくて、両手で自分の口を塞いだ。
「なんで塞ぐんだよ」
私は口を塞いだまま、ふるふると必死に首を横に振る。
でも、伏黒くんは許してくれなかった。
また胸をふわふわと触られる。
「ひっ……あっ……!」
堪えきれなくて、塞いだ手の隙間から吐息がこぼれた。