• テキストサイズ

【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**


「ひゃっ……だめ、ふしぐろく――」



だめ。
そこは、だめ。

逃げようとしたのに、伏黒くんは今にも壊れそうな顔で私を見下ろしていた。



「……怖いなら、突き飛ばせ」

「……」

「今、たぶん自分じゃ止まれない」



伏黒くん、ずるい。
そんなこと私に言わないで。
突き飛ばせばいい。
怖いなら、逃げればいい。
そうしなきゃいけないこと、自分でもわかっているのに。



「そんな顔、しないで……」

「伏黒くんがそんな顔してるの、見たくない」



気づけば、伏黒くんの頬に触れていた。
熱い。
いつも冷静な彼からは想像できないくらい。



「……嫌なら、今言え」

「嫌、では……ない、と思う」

「なんだよそれ」

「わかんない……でも」



私も知っているから。
好きな人にちゃんと見てもらえないことが、どれだけ苦しいのか。
だから、伏黒くんが私を見るその目を無視できなくて。



「今は……ちゃんと、伏黒くんを見るよ」



私、何を言っているんだろう。
先生が好きなのに。
伏黒くんにこんなふうに触れて、そんなことを言って。

でも。
自分の中に生まれてしまったこの揺れを、なかったことにもできなかった。


伏黒くんの唇がゆっくりと近づいてくる。
唇が触れる直前、頭の中に浮かんだのは先生の顔だった。





ごめんなさい。


私は……今、誰に謝ったんだろう。
先生に。
伏黒くんに。
それとも、どちらの気持ちも綺麗に選べない自分に。


それでも、今だけは――。

/ 75ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp