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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**


「君、見える側だし、持ってる側でしょ?」



見える側。
持ってる側。
そんなふうに言われると、私が普通じゃないみたいで。



「……見えてないし……持ってない」



嘘をついてしまった。


ほんとは見えてる。
変な生き物だって出せる。
でも、そんなこと言ったら、もっとおかしい子だと思われる。



「あぁ? さっき、見えるかって聞いてきただろ。嘘つくなよ」

「見えてないもん」

「じゃあ、なんであれ見ないようにしてんの?」

「そんなことないもんっ!!」



つい声が大きくなった瞬間、黒いものがぬるりと動いた。



『あそぼぉおおおお……』



いや。
来ないで。
怖くて、我慢してた涙がこぼれそうになる。


お兄さんは、そんな私の横を通り過ぎて、ブランコの方へ向かっていく。



「だめ……!」



お兄さんが振り返った。



「ん?」

「行ったら、だめ……! 食べられちゃうかもしれない……!」



黒いものが、本当に人を食べるのかは知らない。
でも、あれは怖くて、近づいちゃいけないもの。


なのに、お兄さんはけろっと平気な顔をしていた。



「食べられる? 僕が?」



おかしそうに笑って、お兄さんはサングラスに指をかける。



「ないない」



少しだけ、サングラスが下がって。
その隙間から、隠れていた目がちらっと見えた。


(きれい……)


空みたいな色。

でも、ただの空じゃない。
夏の日のプールみたいにきらきらしていて、ガラス玉みたいに透き通っている。


私はもう黒いものより、お兄さんの青い目から目が離せなくなっていた。


お兄さんが、ほんの少しだけ指を動かすと、ぐしゃ、と何かが潰れる音がした。


はっとしてブランコの下を見る。
さっきまでそこにいた黒いものは、跡形もなく消えていた。
お兄さんは、何事もなかったみたいに戻ってくる。



「はい、おしまい」

「すごい……! すごい! どうして消えたの!?」
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