第4章 【五条悟】勿忘草の悪魔**
「……っ」
でも、全然だめだ。
さっきリビングで一人で動画を見ていた時は、ほんの少し触れただけでも背筋がゾクゾクするくらい熱くなったのに。
今は、すぐ後ろに五条さんがいて。
後ろから手元をじっと見られていると思ったら……。
とてもじゃないけど、集中なんてできなかった。
(ちゃんと気持ちよくなって……五条さんを興奮させなきゃいけないのに……っ!)
焦れば焦るほど、指がぎこちなく空回りする。
布の擦れる音が響くだけで、熱を持っていたはずの身体は緊張でガチガチに強張ってしまっていた。
「……んっ」
どうしよう。
こんなへたくそなところを見せたら、五条さんに呆れられちゃう。
役に立たない淫魔だって、精気をもらえなくなっちゃう……!
尻尾もシーツの上に情けなく垂れ下がっていた。
すると、背後から五条さんの腕が伸びてきて、私の身体をすっぽりと抱き込んだ。
腕の中に閉じ込められたみたいで、心臓が変な音を立てる。
「……声、出さないの? は無言でやる派?」
「あ、ぅ……っ」
五条さんの低くて心地いい声が、頭の中を直接撫で回すように響く。
ただでさえその声は心臓に悪いのに、こんな耳元で言われたら、もう爆発してしまいそう。
「こ、声なんて……っ! で、出ないですぅ……っ!」
私が抗議すると、五条さんの胸が小さく揺れるのが伝わってきた。
五条さん、笑ってる。
絶対、バカにしてる。
「そっか。まぁ、そうだよね。処女だもんね」
からかうように言われた直後。
五条さんの手が、私のお腹のあたりにするりと回ってくる。
「――じゃあ、声が出るように、僕が手伝ってあげよっか」
そう言って、五条さんは下着越しに触れていた私の手を、自分の手で上からすっぽりと包み込んだ。