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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**


***



伏黒くんと初めて会った時、面倒くさそうにため息をつきながら、それでも私の手を握り返してくれた。
任務ではいつも助けてくれるし、必要な時にはちゃんとアドバイスもくれる。
この前は、任務終わりにレモンティーまで買ってくれた。


一見無愛想に見えるけど、本当は誰よりも面倒見がよくて優しくて。
いつも周りを見ていてくれる頼れる同級生。


今だって。
雷が怖くてパニックになってしまった私を、呆れながら助けてくれるんだと思っていた。


そう、思っていたのに――。










伏黒くんのスマホの画面に、『五条先生』の文字が見えて。



「で、出た方が……もしかして先生、心配してるかも……」



私がそう言った瞬間、伏黒くんの空気がはっきりと変わったのを感じた。
暗闇の中で見上げた彼は、私の知っている『優しい同級生』じゃなくなっていた。






「……五条先生なんか、やめろ」



伏黒くん、怒ってる?
やめろって、どういう意味?
ただ、電話に出た方がいいって言おうとしただけなんだけど。



「……あ、えと……」



気に障ること言っちゃったかな、そう思って謝ろうとした瞬間――



視界が塞がって。



「……んっ、」



唇に熱くて柔らかいものが触れていた。
何が起きたのか、すぐにはわからなかった。

伏黒くんの顔が、すぐ目の前にある。
近い。
近い近い近い。

え、なんで。
伏黒くん、近い。

というか、これ。
これって。

これは、たぶん。
たぶんじゃなくて。


私……伏黒くんに、キスされてる……?



「……っ、ふし、ぐろくん……まっ……」



わずかに離れた唇の隙間から名前を呼ぶと、伏黒くんがパッと唇を離してくれた。


私を見下ろす、深い翠色の瞳。
怒っているわけじゃない。
でも、いつもの彼じゃない。


頭が追いつかない。
ただの同級生だったはずなのに。
どうして急に、こんな。
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