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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**


(……戻る?)


何もなかった顔で、また前と同じ距離感に戻る。
が五条先生を見て笑うたびに、傷つくたびに。
俺は、何でもないふりで隣にいる――――







そんなこと、もうできるわけねえ。


知ってしまった。


俺の名前を呼んだその声も。
俺だけを見ているその目も。
こいつの唇の柔らかさも。

全部、手放したくなかった。


(……俺を見ろよ)


今度はもっと深く。
何も考えられなくなるくらい、強く唇を重ねた。





――もう、同級生には戻れなくてもいい。





わずかに開いた唇の隙間を割って、強引に舌を入れ込む。
上顎をなぞって、逃げようとする舌を捕まえた。
ちゅ、と深く吸って、自分の舌を擦り付ける。
逃げようとする舌に何度も絡みついては、唾液ごとかき混ぜた。



「……ん、ぁっ……」



息継ぎの合間にこぼれるその甘い声。
それが耳に届くたび、痺れるような熱が全身を駆け巡る。


雷の音も。
雨の音も、もう聞こえない。
感じるのは……すぐ下にいるの体温と乱れた息遣いだけ。


畳の上で震えていたスマホも、いつの間にか静かになっていた。


俺はもう夢中だった。
交わる唾液すら、ありえないくらい甘く感じる。


(なんだよ、これ……)


頭がおかしくなりそうだ。
ただ、どうしようもなく――もっと欲しくなる。


正直、抵抗されると思った。
嫌がって、思いきり突き飛ばされると。


最初は逃げようとしていたも、今は俺のキスを受け入れているように見えた。
嫌がっていない。
いや、そう思いたいだけなのかもしれない。



「……っん、ふ……ぅん……」



息が苦しくなったのか、が俺の肩を弱々しく叩いた。
ゆっくりと唇を離すと、二人の間に荒い息遣いだけが残る。
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