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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**


「……なんで、こんなこと……」



暗闇に目が慣れて、すぐ下にあるの顔がはっきりと見える。
目には薄く涙が溜まっていた。


なんでって……。
そんなの――













「好きだ……のことが」



その言葉は、俺の口から滑り落ちるように溢れた。



「……ぇ……?」



が目を丸くして固まっている。
こんな状況でそんなことを言われても、すぐに理解できるわけがないよな。



「こんなことして、悪いと思ってる」



嘘じゃない。
押し倒して、無理やりキスまでして。
最低なことをしている自覚はある。


俺は掴んでいたの肩から手を離し、布団に手をついた。



「お前が、五条先生のこと好きなのも知ってる」



その瞬間、の動きが止まった。
まさか知られているとは思わなかった、という顔だ。
顔を赤くして、言葉を探すように唇を震わせている。



「今はそれでもいい」



言いながら、自分でもバカだと思う。
本当は、全然よくなんてないくせに。



「俺のことも……考えて欲しい」



せめて、あの人の横に並べるだけの隙間が欲しい。


は何も言わなかった。
でも、その瞳の奥にはっきりと戸惑いが見えた。
五条先生のこと。
俺のこと。
不器用なくらい真面目なこいつは、必死に答えを探しているんだろう。
 
嘘がつけないから、先生への気持ちはないことにはできない。
でも、俺の言葉を無視することもできない。


しばらく沈黙が続いたが、がそっと口を開いた。



「ぁ、……えっと」



は困ったように瞬きをした。

何かを言おうとして、言えなくて。
俺の浴衣をきゅっと握って、また俺を見る。

何度か迷うように呼吸をして、それから、ようやく。



「す、好きって言ってくれたこと……嬉しかった、です」

「なんで敬語」

「ぁ……っ」



は慌てたように口元を押さえた。
その仕草があまりにもいつもので。
まだ俺にそんな反応を返してくれることに、少しだけ救われる。



「でも……」

「……」

「さっきのは……ちょっと怖かった」



何も言えなかった。
そうだよな、好きだと言えば許されるようなことじゃない。
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