第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**
窓の外が、真っ白に光った。
「えっ」
が小さく声を上げてすぐに、腹の底に響くような轟音が落ちた。
それと同時に、部屋のテレビも明かりも、すべてがぷつっと音を立てて消える。
「停電、か」
目が慣れていないせいもあるが、外の街灯も消えているらしく、部屋の中は本当に何も見えなくなった。
「、大丈夫か」
返事はない。
ただ、暗闇の中で畳を擦る音だけがした。
「?」
もう一度呼ぶと、震える声が聞こえた。
「……ふしぐろ、くん」
「どうした。暗くて怖いのか」
「ちがう……」
「じゃあ何だ」
「……びっくりしすぎて、腰抜けた……」
「は?」
気の抜けた返答に、一瞬呆気にとられる。
転んだのか。
どこか打ったのか。
そう思って身構えたのに。
「お前な……」
ため息をつきながら、さっき側に置いたスマホを手探りで探し当てる。
画面を点灯させ、ライトをつけた。
白い光が、暗い部屋の一部を切り取るように照らし出す。
光の先、がぺたんと畳に座り込んでいた。
「立てるか」
「……無理かも。足、がくがくしてる」
「驚きすぎだろ」
「だって、あんな大きい雷、初めて聞いたんだもん……」
は涙目で、情けない顔をして俺を見上げている。
五条先生じゃなく、俺を。
それだけで妙な満足感を感じる俺は、もう重症なのかもしれない。
「ほら、手」
スマホを持っていない方の手を差し出す。
は躊躇いながらも、俺の手を握り返してきた。
その手を引いて、立ち上がらせようとした、その瞬間だった。
再び、窓の外が真っ白に光った。