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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**


頭を冷やすつもりで、いつもより長く湯に浸かった。
熱い湯を何度も被って、無理やりにでも余計な考えを洗い流す。
そうして完全に落ち着きを取り戻したつもりで、部屋に戻ってきた。


部屋には、すでに風呂から上がったがいた。
旅館の浴衣を着て、濡れた制服をハンガーにかけているところだった。


毎日見ている制服とも、寮での部屋着とも違う。
初めて見るその姿に、思わず見入ってしまう。

髪は後ろでゆるくまとめられていて。
少し大きめの浴衣の襟元から、白い首筋がやけに目立って見えた。
湯上がりのせいか、頬や耳のあたりがほんのり赤い。


(……っ、見すぎだ)


慌てて視線を逸らす。



「あ、おかえり」



俺とは逆に、はいつも通りの顔。
さっきのことなんて、もう微塵も気にしていないらしい。

なんで、残念がってんだよ……俺は。
少しでもあいつに意識してほしい、なんて。

今日何度目かわからないため息が出る。


俺も濡れた制服を干そうと、部屋に足を踏み入れた。
そこで、今日二度目の思考が止まる。


部屋の真ん中に、敷かれた布団が二組。
隙間なんて一ミリもないくらい、ぴったりとくっついて並んでいる。



「……おい」



自分でも驚くほど、低い声が出た。



「なんだ、これ」

「え? お布団だよ」

「そうじゃねぇ……」



ぐっと額を押さえて、もう一度布団を指差した。



「なんで、こんなにくっついてんだって聞いてるんだ」

「あ、なるほど。さっき、旅館の人が敷きに来てくれたんだよ」



はなんでもないことのように答える。


旅館の人が敷いた。
つまり、宿の人からは俺たちが「そういう関係」だと思われているということだ。
男女が一部屋に泊まる。
気を利かせて、布団を密着させて敷く。


そこまではいい。
百歩譲って、宿の勘違いは仕方ない。


問題は――
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