第4章 【五条悟】勿忘草の悪魔**
「……かわいい」
どれも、私が昨日着ていた『えっちな淫魔服』とはまるで違う。
ちゃんと布がある。
ちゃんと隠れる。
そして、なんだか少しだけ、人間の女の子みたいだった。
一枚手に取って、身体に当ててみる。
サイズは、たぶん合っている。
むしろ、怖いくらいちょうどよさそうだ。
「……なんで、私のサイズわかるんですか」
五条さんは、本当に不思議な人だ。
初対面なのに、専属契約を結んでくれて。
私をベッドに寝かせてくれて。
服まで用意してくれて。
それなのに、私のことは魅力がないって言う。
「……変な人」
その時、ピコンと通知音が鳴った。
音のした方を見ると、テーブルの端に私のスマホが置かれていた。
五条さんが、ここに置いておいてくれたのだろうか。
画面を確認すると、一通のメッセージが届いていた。
送り主は、昨日私を送り出してくれた、会社の先輩からだった。
『専属契約、決まったんだって? おめでとう〜! 初仕事でいきなりなんて、すごいじゃん!』
「先輩……!」
よかった。
会社には、ちゃんと契約成立の連絡がいっているらしい。
ほっとしたのも束の間、続けてもう一通メッセージが届いた。
『お祝いしよ♡ 今日ランチでもどう?』
「ランチ……」
そうだ、先輩に聞けばいいんだ。
精気のこと。
会社のこと。
えっちを断られてしまったことも。
制服を捨てられてしまった場合の、始末書の書き方も。
それに、五条さんという不思議な契約者さんのことも。
私はスマホを手に取ると、『行きます! 相談したいことが山積みです!』と返信を打った。
『りょーかい! じゃあ12時に。場所、今送るね〜』
すぐに返ってきた返事を見て、私は壁の時計を見上げた。
時刻は午前11時。
準備をして向かえば、ちょうどいい時間だ。
「よし……っ」
五条さんは『適当に待ってて』と書いていたけれど、鍵は玄関にあるとも書いていた。
少しなら外出してもいい……よね。
もう一度段ボールの中を覗き込む。
「……これにしようかな」
箱の中から、シンプルな白いワンピースを取り出した。